「本当の栃木県の歴史」は、私が独自の自由な発想の元に楽しくお話するものです。学問的なお話は、その道の専門の方にお任せすることにして、閑話としてお楽しみください。そして、ぜひみなさまのご感想もお寄せください。
 
葛生原人はいなかった?
 
栃木県に葛生という地方があります。
ここは石灰岩の産地として良く知られ、石灰質の土壌では、動物の骨が溶けずに長い時代保存されることがあるので、こういう場所からは古い時代の動物の骨がよくみつかります。
だいぶ以前に、ここから原人の骨が発見されたと大騒ぎになりました。「原人」は言い過ぎでも、「新人」と呼ばれた時代の人骨の可能性が高いとして、専門家に鑑定してもらったところ、実際には原人の骨どころか、人骨でもない 可能性もあり、野生動物の骨も確認されたそうです。
このように学問的に、原人の骨ではないことが確認されたにもかかわらず、葛生地方では、いまだに「原人の里」という観光企画でまちおこし運動をつづけております。もちろん学問的に否定されても、観光開発目的なら、めくじらをたてるような事ではないのですが、古代史に興味を持ち、将来の夢として学問を志そうという思いを抱いた子供たちが、その話が偽りだった事に気づいたときのショックを考えたとき、観光は観光、学問としての「原人の里」ではない事も、しっかりと観光ピーアールのパンフレットの端には明記してほしいと、私はいつも思いうれいています。

追記
このお話を掲載した後に、宮城県内でいわゆる「旧石器発見ねつ造事件」が発覚しました。詳しくは、その方面の専門のホームページなどでご確認ください。
元々アマチュア考古学者といえども、歴史をねつ造するような行為は決して許されないものがあります。
そして、ねつ造が発覚したあとも原人にちなんだ町おこしは続けていくという地元のお話は、葛生町のお話にだぶって悲しい思いがしました。
無邪気な嘘なら許されるという考えは明らかに間違っております。これを機会に、本当の町おこしとは何かを皆さんと一緒に考えたいものですね。

追記2(2008/5/21)
現在葛生町は、佐野市と合併して行政名としての葛生町は消滅しております。その関係で、上記お話は一部最新情報と一致しておりません事をお許し下さい。

 

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